2010/08/31

かまうぃたちの夜(復刻版)

第15章 一つの推理
全員ぎくりとした様子でこちらを見る。
「ほ、本当かね?」
リーさんもおどろいている。

「犯人って・・・・・・まさかあたし達の中に、犯人がいるって言うんじゃない
でしょうね?」
真理はおそるおそるたずねた。
「・・・・・・残念だけど、そういうことになる。」
「そんな・・・・・・」

ぼくは言った。

「犯人は、この中にいる!!」
片っ端から指さした。
「さぁ、ぼくを騙そうとしてもむだだ。 一歩前へ出て許しをこえ!」

視線が痛い。
「透・・・・・・とにかく、2~3時間寝た方が良いわ」
真理が悲しそうな顔をしながら言う。
「ごめん、じゃあこちらから犯人を言うね」
策はまだある。

ぼくは軽く咳払いをして、再び言った。
「実はぼく、犯行現場の写真撮っちゃったのねぇ」
にやりと笑って一人一人の動きを確認した。
犯人がいれば、そんな証拠物品があると聞いて、動揺しないはずがない。

「今なら写真を取り引きしてもいいんだけどなぁ。 証拠がなければ警察のお世
話にならない、犯人を隔離できればぼくらも安心して寝られる、いい取り引きじ
ゃない?」
なぜか、空気が重い気がする。

「と・・・・・・透」
もはや真理も絶句していた。
「ふざけるな!! 写真なんて撮られてないぞ!!」
クボータさんが立ち上がり、ペンション中に響くほどの声で怒鳴った。

「やはり、あなたが犯人でしたか」
ぼくも立ち上がり、クボータさんに歩み寄った。
「あの変態の部屋にどうにかして入り、どうにかして始末し、どうにかして抜け
出した。 なにくわぬ顔で合流した。 違いますか?」
「兄ちゃん、それアバウトすぎとちゃうか?」

口出ししてきた香山さんを睨みつけた。
「透君、君の言う通りさ。 まさかこんな頭の回るやつがいるなんて、誤算だっ
たよ。」
こいつ、アホだ。

「クボータ君、なんで・・・なんでこんな・・・」
「決まってますよオーナー。 あいつは、あの変態は、オーナーの尻を狙ってい
たんですよ!! おれのものなのに!!!」
こいつ、アホだ。

号泣するクボータさんに誰も近づけなかった。
いや、近づくのは危険だと誰もが察知していたのだろう。
こうしてぼく達は、朝まで号泣するクボータさんからできるだけ距離をおきなが
ら談笑した。



終わり

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