2009/09/03

かまうぃたちの夜(14)

第14章 わきあがる疑惑
・・・・・・待てよ。
ぼくはふと疑問に思った。
ぼく達は初めから、犯人は窓を割って入ってきたのだと決め付けていた。
でも本当にそうなのだろうか?
犯人は、もっと前からペンションの中に入り込んでいたんじゃないだろうか?
そしてゆっくり時間をかけて変態に凍った糸コンを突き刺した・・・・・・。
そう考えないと、柔らかい糸コンをあんなふうに人間に刺す説明がつかない。
それとも、何か方法があるのだろうか?
窓の割れる音がしてから、ぼく達が駆けつけるまでのあんな短い間で、糸コンを固まらせ、刺してから戻す方法が・・・・・・。
できるわけがない。
きっと、犯人はずっと前から糸コンを凍らしていたに違いない。
では一体いつ?
どこで?
どうやって凍らせた糸コンを刺し、解凍してからペンション内を移動することができたのだろう?
戸締まりがきちんとしていた以上、入れたのは、客と従業員と見知らぬ人々だけだ。
でも、それだけだと、誰かが犯人だとは特定できない。
それに、少なくとも見知らぬ人々も、挨拶をしたので名前は知らなくても、正確には知ってる人々だ。
となると・・・・・・。
主要メンバーの一人が凍った糸コンを持っていたが、誰にも見えなかったのだ。
そうか・・・・・・。
ぼくには真相が見えてきた。
犯人が糸コン殺法の達人だというわけではない。
犯人も、糸コンもはっきりとぼく達には見えていた。
にもかかわらず、心理的な死角に入っていたのだ。
「どうしたの? 透、ひまならジュース買ってきて」
真理が百円を渡してきた。
「それくらい自分で買えばいいだろ」
「いいじゃないの、誰でも。 それで、コーラが売り切れてたときはサイダーで良いのよ」
「そんなことより、真相が分かったんだ。 変態糸コン殺人の犯人がね」

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