2009/09/01

かまうぃたちの夜(12-2)

第12章 犯人よりも犯人らしく
(2)
次は二階だ。
どちらかというと現場に近いこちらのほうが危険な気がした。
みんなは、犯人が入り込んだ可能性はほとんどないと思い始めたのだろう。
さっきまでとは違い、デジカメも持って二階へと昇った。
「わしはこう見えてもな、高校時代は写真部やったんや。もし犯人が出てきよったら、スーパーフラッシュでビビらして、面白い顔撮ったるわ」
香山さんは今になってからそんなことを言い出す。
それなら盗撮魔のミッキモーさんを先頭立たせろよ、現役なんだからと言いたいのをこらえた。
二階へ上がると、さっきと同じ要領で、客室を調べてゆく。
・・・・・・しかし、やはりリーさんがベッドのあたりで痙攣し、ぼくらが面白がってそれを撮影するくらいしか変化はなかった。
「リーくん、あのドアはなんや」
香山さんが廊下の突き当たりのトビラを指差しながら言った。
「あぁ、あれは非常用の地下シェルターの入り口なんですけどね、10人で半年持つ程度の食料とかベッドとかあるだけなんですよ。 人間は・・・・・・隠れるには十分ですけど、まぁ探さなくっていいかって・・・・・・」
近づくとぼくたちの耳に、ガサッという音がはっきりと聞こえた。
全員がぎくりとして足を止める。
ミッキモーさんが目をぎょろつかせて、ぼくを見る。
『パンツ換えてきても良い?』
その目はそう言っていた。
ぼくはグッショリ濡れた自分やクボータさんのズボンを指さし、首を横に振る。
カメラを握りしめる手に、汗がにじむ。
ノブに手をかけたリーさんが、みんなの顔を見回した。
ぼく、ミッキモーさん、クボータさん、そして少し離れたところから香山さん。
四人が一斉にうなずいた。

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