2009/08/20

かまうぃたちの夜(9-2)

第9章 鳩のなく夜
(2)
「・・・・・・あの、べジタリアンの方ですか?」
亜希さんがミッキモーさんに質問した。
「僕? いやいや。僕はバイタリアンです。 遅れたもんで夕食には間に合いませんでしたが・・・・・・。 一応自己紹介しとこかな。 若い女性もたくさんいることだし。」
そういって、ホフク前進の格好から立ち上がると、ミッキモーさんは少し改まった調子になった。
「僕はミッキモー。 自然派カメラマンをやってる。 盗撮写真が主だけど、正面撮りをして欲しいって言う人がいれば遠慮なく言ってくれればいいよ。」
冗談のつもりか、一人で笑った。
「やだ、変態じゃん」
女の子達は得体の知れない物と対峙したかのように嫌がる。
「恥ずかしがることはないじゃないか。確かに、見つかれば皆嫌がるけど、自然な風景を撮りたいだけなんだよ。それに、そのうち年を取ったときに、ああ、あのきれいな頃の魅力を誰かに伝えたいって、きっとそう思うようになるよ。」
僕は真理の顔をうかがった。
軽蔑したような表情しか浮かんでいない。
・・・・・・ってか、ぼそっと「早く地獄行けばいいのに」って言ってる。
「ブタ子、撮ってもらえばー?」
亜希ちゃんが啓子ちゃんを肘でつついている。
「えーやだ。自信ないもの」
激しく首を振りながらも、啓子ちゃんはまんざらでもなさそうだ。
OLも盗撮魔もまとめてウゼェな。

ガチョーーーーン!!

「何や? 今の古いギャグみたいな音は…」
香山さんが驚いて叫んだ。
あっと驚く香山タメゴーロー。
「私、ちょっと見てきます」
リーさんはウサギ跳びの準備をすると、あっと言う間に廊下の奥へ消えた。
ミッキモーの作ったうっとうしい雰囲気が冷めたようだ。
やがて、部屋から連れ出したのか、クボータさんと一緒に戻ってきた。
「一階は、まぁ窓5枚くらい割れてるけど、異常はないみたいだ。
 ・・・・・・すみませんがみなさん、ご自分の部屋で何か割れてないかどうか、確かめてきていただけませんか? 冷凍庫状態になってたら電気代節約できますしね」
そりゃ良いや。ぼく達は立ち上がり、冷蔵庫から魚やら肉やらを勝手に引っ張り出して二階へ上がった。
二階へ上がると、ぼくはまず真理の部屋に飛び込んだ。
バッグを開けてのぞいただけで、何も異常がないのは分かった。
が、一応香りが残ってないか確認したところで、後ろから真理にカツオで叩かれ、廊下に追い出された。

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