2009/08/29

かまうぃたちの夜(11-3)

第11章 犯人は誰だろう
(3)
「そやから、青い鳥はおらんって昔っから言うとるやろ? 窓から入ってくるって言うて高層ビルの窓叩き割った頃と変わらんな? 裏手をあんまり除雪せんと二階の窓から木箱吊してるんも鳥の巣代わりっちゅうことやな」
「話を戻しましょう。 犯人は窓から外へ逃げたんじゃないですか? だって、ドアの鍵はかかったままだし・・・・・・」
ぼくは当然だと思っていたことを言った。
「そんなことわかるかいな。 ここのドアは隠しボタン式の鍵やで。 入って来たんは窓でも、その後はどこかにあるボタンを押して閉めたら済むことや。 二階の空き部屋に隠されてるかも知れへんし、わしもようわからん」
確かにドアに関しては香山さんの言う通りだった。
ロックしようとすれば、ロックされる・・・・・・。
『チョルチェン』の客室のドアは、すべてそのタイプだった。
だから、鍵がしまっていたからといって、犯人が窓がら逃げたとは限らない。
とはいっても、二階の部屋はさっきみんなで調べたばかりだ。
2~3人見知らぬ人とすれ違ったが、まぁ騒ぎを聞きつけて数キロ離れた家から駆けつけてくれた、とても親切な野次馬としか考えにくい。
「なんにしても、みんな何か、破壊兵器になるものを持ったほうがいいんじゃないかしら?」
愛刀の手入れをしていて黙り込んでいた真理が、口を開いた。
僕は真理の提案に驚いたが・・・・・・。
「そら言えてる。イザっちゅう時のためやな」
「さっそく、用意しよう」
みんなはすぐにその意見に賛成した。
・・・・・・といったってこんなペンションのこと、武器なんてあるわけもない。
結局みんなが手にしたのは、対空用のミサイル、マシンガン、そしてライフル。
ナパーム弾なんかはかえって危ないというのでこんなものになってしまったが・・・・・・。
頼りないことこのうえない。
「何人かでチームを組んで、しらみつぶしに調べるんや。閃光弾投げ込んで、一斉に部屋突入して、制圧する・・・・・どこに隠れとるか分からへんのやで」
いつの間にか香山さんがリーダーシップを取っている。
やはりそこは社長だからだろうか。
男は五人。
ぼく、ミッキモーさん、リーさん、クボータさん、香山さん・・・・・・これで全部。
玄関のあたりで見知らぬ男が2~3人雑談しているが、たぶん客でも従業員でもないので、カウントしない。
女性陣は見送りだ。
壁中に犯人のわら人形を五寸釘で打ち付けてもらいたい気分だった。

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