第10章 マネキンをコート掛けのように
(4)
「じゃあ脅迫状はどうなるのよ。あれを書いたのは人間でしょ?」
「え、でも・・・・・だって・・・・・」
亜希ちゃんは困ったような顔のまま、また泣き出した。
「なあ、さっきから聞いとるけど、脅迫状、脅迫状って、一体何のことや?」
香山さんがたまりかねたように口を挟む。
リーさんは、一瞬ぼくにウィンクした。
が、軽く無視されたのにすぐに気づいたか、ぼつぼつと、脅迫状の一件を話し始めた。
「実はですね・・・・・・なんかぁ・・・さっきぃ・・・こんや12にぃ・・・こんにゃくがどうっとかってぇ・・・紙があってぇ・・・ちょー怖いじゃん? だからぁ・・・こんなイタズラぁ・・・みんなにぃ・・・知れたらぁ・・・怖ぇなぁなんて思ってぇ・・・隠したんスよぉ・・・。 俺ぇ・・・こんなことならぁ・・・言っときゃよかったてぇ・・・思うんス・・・」
聞き終わったあとしばらく、全員が絶句していた。
「そんなことが・・・・・・あったんですか、ってかウザイ・・・」
ミッキモーさんがつぶやく。
「そういうことも、ちゃんと言えんのかリーさん。若者みたいでかなんなあ・・・・・・」
香山さんが、ため息交じりでぼやく。
「・・・・・・でも済んでしもたことはしゃあない。 とにかく上にあるのがホンマに糸コン刺さった変態なんやったら、はよ警察に連絡せなあかんわな」
警察!
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