2009/08/16

かまうぃたちの夜(7-1)

第7章 遅れてきた客
(2)
「ほな、誰が取りに行くか、インジャンで決めへんか? …あ、こっちやとジャンケンっやったな。」
香山さんがそう言いだした。
「あ、ビール派が三人いることですし、グーとパーで決めません? それなら確実に一人選ばれるでしょうし」
真理が提案する。
なるほど、それならグーかパーが一人だけになるから、一回で決められるな。
「よし、じゃあ、やりましょうか。」
「ほな、いくで。 グーとパッ!!」
ぼくは直前まで真理が手を握ってるのが見えたんで、グーを出した。
「ありゃ、兄ちゃん、負けよったなぁ・・・・・」
香山さんはチョキを出してた。
「残念ね、透」
真理もチョキを出してた。
何なの、こいつら?
「頑張って取りに行ってな!」
香山さんが言った。
真理もヨダレをボタボタ垂らして、早くビールちょうだいという目で見てくる。
仕方なく、玄関を出て取りに行ったのは良いが、外の極寒より、戦利品を持って帰ったぼくに向かって、
「寒そうだから近寄らないで、気持ち悪い」
という真理の言葉の方が絶望的だった。
リーさんの奥さん・・・・・スプリンガーさんは、飲めないのか飲みたくないのか、手を出さない。
「ぷはーっ、こういう寒い時に、暖かい部屋で冷たいビールを飲むんが最高の贅沢やな。」
香山さんはニコニコしている。
「あ? 違うだろ豚野郎」
ぼくは逆らった。
「最高の贅沢なんていったら、水着美女に囲まれて食べる焼きそばでしょうが、何言ってるの馬鹿のくせに。」
「いや、そら違うな。女房と飲むビールが最高やわ」
「違いますね。真理を椅子代わりにして飲む方が・・・」
「もう!いい加減にしてよ!なんで透ごときの椅子にならきゃいけないわけ?黙って飲みなさいよ」
真理に怒られた。
「・・・・・奴隷のくせに!」
ポツリと言い返す。

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