2009/08/17

かまうぃたちの夜(8-1)

第8章 団らんの時間
「どうもこんばんは!」
足音も高く、さっき上がって行ったばかりのミッキモーさんが降りて来る。
「部屋のカギが解けないですが? 参っちゃうな。ねぇ、ドア蹴破ってやりましたよ」
えらくアホな人らしく、あははと大声で笑いながら真理の隣に腰掛けた。
「あ、ミッキモーさん。もう降りていらしたんですか。アロンアルファで解けないようにしておいたのに・・・・・」
リーさんがコーヒーをジョッキで持って来る。
何、このおねしょサービス?
その後から、奥さんの今日子さんとバイトのグリーンさんがビーカーに並々と入れた紅茶をアルコールランプの上に乗せてやって来た。
何の実験が始まるのだろう?
「スプリンガ―さんはビール無理派でしたよね? 紅茶は、いかかですか? あと、アニマライズ・グッドケーキというのもありますけど・・・・・おいしいですよ」
リーさんがたずねると、スプリンガーさんはちょっと考えてうなずいた。
「ええ、じゃあいただきます。」
「じゃあ、召し上がれ。」
リーさんはそう言うと、ケーキを床にひっくり返し、上から紅茶をかけた。アルバイトのグリーンさんが首輪片手に笑ってる。
そこに、なぜかミッキモーさんが飛びついた。
「ああ、生き返るみたいだ・・・・・!」
ミッキモーさんは有難そうにケーキをはぐはぐと食べる。
ひげを生やした人というのは、人間性がよく分からなくなってしまうものだが、ミッキモーさんもそうだった。
これの感じや喋り方からして、中年と言うにはまだ間があるだろうが、たぶん30代半ばだろう。
首輪をすると案外ぼくたちと変わらなくして20そこそこ、なんてこともあるかもしれない。
「泊まり客は、これで全部ですか?」
一息ついたミッキモーさんがぼく達を見回して聞く。
「いえ、私の変身は、まだ4つありますよ」
リーさんが答えた。
「そうだ。グリーンさん。彼女達もお茶が欲しいかもしれない。ちょっとドアの隙間から流してあげなさい」
「はーい」
グリーンさんはぱたぱたとスパイクの音をさせて、フロントへ向かった。

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