2009/08/13

かまうぃたちの夜(6)

第6章 就職先は生涯賃金で決める
「香山さんは前の仕事でお世話になったんだ、マダガスカルで社長をされている。」
「しかし、何やな、脱サラした人は何人も見てきたけど、普通やな。ところで、あんたら学生さんか?」
香山さんはテーブルに話しかけた。
「は、はい」
あわてて、ぼくが答えた。
「どや、うち来んか?」
「まだ先の話なので…」
「どや、うち来んか?」
「まだ先の話なので…」
「どや、うち来んか?」
「チビデブ調子乗るなよ。 いかないって何回…」
「はい、これ、透の履歴書です。」
真理がおもむろにぼくの履歴書をテーブルの上に置いた。
このアマ、いつの間に作りやがった!?
しかも、小中高すべて当たってる、趣味まで。
「兄ちゃん、特技がマウスのトリプルクリックできますって、いらんわぁ(笑)」
この香山豚、自分から誘っておいて、うぜぇ。
「ごめんな、うちの会社実力主義やねん。トリプルクリック使える企業探してな。」
いつの間にかトリプルクリックが伝家の宝刀扱いにされてしまった、うぜぇ。
「ご迷惑ですよ、あなた。」
静かな女の人の声が聞こえた。
振り向くと、香山さんの奥さんらしい、あのきれいな女の人が手すりの上に立っている。
「困ってらっしゃるじゃありませんか」
遠目にも凄い気がしたが、近くでみると足の小指一本で立ってるが分かった。
35,6のくせに、できる。

0 件のコメント: