2009/08/24

かまうぃたちの夜(10-3)

第10章 マネキンをコート掛けのように
(3)
しばしの沈黙の後、リーさんは鼻で笑った。
「だから盗撮専門のあなたがここに来たわけですか? 馬鹿馬鹿しい」
真理も口をはさむ。
「そうよ、このかまうぃたち野郎、存在自体が不自然なのわかる? 真空状態の中に捨てて、息の根止めたいんだけど」
しかしミッキモーさんは動じなかった。
「一応撮った後は相手に撮ったって伝えてる。でも、妖怪か悪魔か分からないが、何かケダモノ以上の扱いを受けるのは確かなんだ。」
「でも、半裸になったり、服が裂けたりするってのは聞いたこともありませんし、人間の頭に糸コンが刺さるのとは関係あるとは思えませんが」
ぼくは言った。
「いや、ぼくも妖怪のしわざにして、どんな顔の時にシャッター押すか考えてたんだ。・・・・・・そんな顔をしないでくれ。ぼくは別に、ネットにUPしたいわけじゃないからね。仮にUPすると考えてみよう。この画像を見てみろよ。これほど激しい画像なら、めったにブログを見に来てくれない人が食いついても不思議じゃない。そう思わないか?」
窓ガラスを割り、そこからミッキモーさんを放り出したい・・・・・・。
そんな風なことを考えてしまった。
「プラズマよ! プラズマのしわざだわ」
ずっと脅えた表情をしていた亜希ちゃんが叫んだ。
「亜希・・・・・・。プラズマってなによ。」
啓子ちゃんがいぶかしげに尋ねる。
「よく分からないけど・・・・・正電荷と負電荷がほぼ同密度で分布している状態だったと思うわ。 それだと説明がつくもの」
プラズマの定義はどうでも良いと思うが、亜希ちゃんは言い切れた嬉しさからか、一人うなずいている。

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