第13章 黒猫
勢いよくドアを開け、物置の中にショットガンをありったけぶち込む。
四人がかりで撃ちまくった後、香山さんが閃光弾を投げ込んでドアをしめる。
・・・・・あれだけショットガン発砲した後なので、閃光弾は意味がない気がするが。
そんなことを考えている間に、激しい閃光と音が響いた。
クボータさんがそっとドアを開ける。
中はテロリストと甘いひとときを過ごしたかのような、戦場のような状態だ。
モップの残骸とくだけ散ったちりとり。
その奥に黒い塊がいた。
「・・・・・・猫だ」
「ありゃ、ジョニーだ。こんなとこにいたのか」
クボータさんが言った。
「ジョニー?」
「ここで飼っている猫だよ。見かけないからどこに言ったのかと思ってたんだ。こんなとこに入り込んでたとはね」
とりあえずジョニーだったものに合掌した。
次は一階だ。
一階には、談話室を除くと・・・・・・。
食堂とキッチン。
グリーンさん、クボータさん達のスタッフルーム。
リーさん夫婦の部屋。
闘技場なんかがある。
人の入れそうなところは一つ一つすべて調べる。
ネズミ一匹見つからない。
「リーさん、隠し部屋的なものはありませんか?」
ぼくは念のため、聞いてみた。
「あとは外の犬小屋くらいなもんだよ。 空家とはいえ、風も雪もほとんどしのげないから、まず使わないだろうね。」
「なんや、結局おらんかったわけやな。 せっかくソニックブームかましたろ思てたのに」
と、香山さんがぶつぶつ良いながら談話室に戻って行った。
そうか、香山さんはガイルかナッシュと友達なのか。
そんなことを考えながら、ぼくも談話室に戻った。
談話室に戻ると、今日子さんが香山さんをしばりあげ、上から雪を盛っていた。
例によってミッキモーさんが飛びつく。
「誰もいなかったのね」
真理がぼく達の表情を読み取って言う。
「結局、外に逃げたって言うことなのかしら」
「だろうね」
クボータさんが答えた。
みんなほっとしたような、それでいて不安げな、複雑な表情を浮かべている。
そりゃそうだろう。
とりあえず内部に不審者がいないことは証明できたものの、本当に誰も隠れていないとは、まだ確信できない。
今いなくても、夜中に入ってくるかもしれない。
いくら戸締りをきちんとしたところで、窓を割れば簡単に入ることができるのだ。
外からの脅威にどこまで立ち向かえるか、不安は隠せない。
・・・・・・待てよ。
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